〝土地のストーリーを織り込むことで長く愛されるデザインになっていく〝
一歩足を踏み入れた瞬間に、独自の世界観に包まれるエントランスやショールーム。暮らしをゆたかに満たす空間をデザインする座間望氏は、2023年にCosentino City Tokyoで開催されたバスルームプロジェクトのデザインディレクターも務め、幅広く活躍する空間デザイナーです。その土地の歴史や背景を大切にしながら、自然観や理想を映し出すデザインを提案する座間氏に、いま求められるインテリアや素材についてうかがいました。
街のイメージを一新するランドマークに誰も見たことがない世界観を表現したかった
「浮遊感」をテーマに、明るく軽やかで何色にも染まっていない室内。キッチンからバスルーム、リビング、バッドルームと、すべてにこだわり抜きました。人の動線を考えると、曲線の方がゆるっと自然に導かれますが、日本のマンションは無駄のない規格通りの造りが多く、曲線を使うとコストアップになる。それでも、曲線ならすごくキレイに光のグラデーションが出るし、中に「さざなみ」という仕掛け素材を設置すると、光が乱反射して水面のように見えます。
Photos: Nacasa&Partners Inc / KEITA YAMAMOTO
夢のようなキッチンとバスルームデクトンが描き出す特別な空間
Photos: Nacasa&Partners Inc / KEITA YAMAMOTO
なによりも「バスタイムをワクワクするもの」にしたかった。1日の疲れを癒すプライベートな空間なので、自分の好きなデザインで満たされた場所であって欲しいと思います。
Photos: Nacasa&Partners Inc / KEITA YAMAMOTO
リビングの中に浴槽があったらもっとバスタイムが楽しくなる
Photos: Nacasa&Partners Inc / KEITA YAMAMOTO
建築時に出た木や天然石を再利用リサイクルとともに土地の物語も継承
これからの素材は、自然重視、地球に還る、そして本質的なデザインが求められていくと思います。表面的な装飾ではなく、人や動物が快適に生きていくために本当に必要なもの。そんななかでも「感動できる空間」を創っていきたい。
2023年10月に開業した「ラフォーレ強羅 湯の棲 綾館」では、その土地からたくさん出てきた小松石や伐採した木を、坪庭やテーブル、照明器具に再利用しています。土地のストーリーも織り込むことで、インテリアデザインも長く愛されるものになっていくのでないでしょうか。
Zama Nozomi
空間デザイナー