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新しい発想で切り拓く未来の建築と空間デザイン

インスピレーションを呼び覚ます

Cosentino City Tokyoのトークショー

 

5月のCosenthino City Tokyoでは、建築家・インテリアデザイナー・キッチンメーカーなど、建築に携わるゲストの皆様をお迎えして、興味深いトークショーが開催されました。

サステナブルな建築を追求し、日本とフランスで活躍するアルベール・アビュット氏。「VMD」の専門家であり、「光・音・香・動」をデザインする空間デザイナー、大髙啓二氏。どちらも、これからの建築や空間についてのアイデアに満ちあふれ、想像力をかき立てるトークに、あっというまに時間が過ぎていきました。

自ら使うエネルギーを

建物自体が生成する時代へ

 

ZEB(ゼブ)という言葉をご存じでしょうか?Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)の略称で、快適な室内環境を維持しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物を表す言葉。消費エネルギーをゼロにするためには、設計・建設段階で日射遮断、高断熱、高効率を追求し、再生可能エネルギーなどを最大限に利用することが必要です。

 

アルベール・アビュット氏のトークショーのテーマは、「ミネラルからオーガニックへネットゼロエネルギービルディングにまつわるお話」。アビュット氏は、海軍建築の専門家でもあり、風、塩、湿度、温度などの影響を受ける極限状態で使用される材料や技術に関する知識が豊富な建築家。その優れた知見は、すべてのプロジェクトに反映されています。

 

フランスでは、使っているエネルギー量がゼロにならなければ建築許可がおりないといいます。実際、世界中の消費ネルギーの40%は建物とインフラに関連していて、温室効果ガスの排出量も36%。「未来のために、建築と都市設計には大きな責任がある」と、アビュット氏は語りました。

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まったく違う分野に目をむけることで

新しい建築の世界が広がる

 

現在、アビュット氏のAA_A社とSMART PANEL社が開発中のプロジェクトは、さまざまな再生可能エネルギーを生成利用し、従来の温室効果ガスを排出するエネルギーゼロのZEB。建物の機能も人体の解剖学にインスパイアされたもので、その外壁には“New Building Skin BY Biomimicry いわば生体模倣の原理でつくる「建物の皮膚」というべき新世代の化粧板が使用され、人体の70%が水でできているように、ファサードに水分を流すことで冷却機能をもたせる画期的なシステムです。「建物の皮膚の内側で技術を活用するので、コセンティーノにも応用できる」と、アビュット氏は語りました。

海軍建築に造詣の深いアビュット氏は、海にとどまらず、宇宙や人体など、さまざまな分野からインスピレーションを受けて発想を自由に広げ、従来の枠にとらわれないシステムを開発し、建築や都市設計に活かしてきました。「建築の世界に閉じこもってはいけない。ヨットの帆など海の技術、ペースシャトルなど宇宙の技術、そして人体の仕組みなど、まったく違う分野に目を向けることで、新しい発想が生まれる」。建築に携わる皆様の心に、アビュット氏のメッセージが響きました。

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光・音・香・動きをデザインするVMD

心価値空間づくりを提案

 

入ってみたいと思わせるショップや手に取ってみたくなるディスプレイ。人は、どんな空間を心地よいと感じるのでしょう。「VMD」という言葉があります。“Visual Merchandising”視覚的に人々の心に響くメッセージを発信する手法のこと。VMDの第一人者として知られる大髙啓二氏は、「光・音・香・動」をデザインし、国内外で「心価値空間づくり」をプロデューする五感空間クリエイター「VMDと五感を融合させた店舗づくり」というテーマは、商業空間にとどまらず、さまざまな空間デザインに応用できる興味深いお話でした。

 

「人が五感で得る情報は、視覚が83%、聴覚が11%、嗅覚が3.5%、触覚が1.5%で、味覚はわずか1%です」と語る大髙氏。生活雑貨店ロフトの全店共通のレイアウト・ゾーニングでは、目のとまるポイントにダイナミックに売りたい商品を展示し、人が歩くことによって提案に強制的にぶつかり、結果的に滞留時間が長くなる什器設計を取り入れたそうです。

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サステナブルなメッセージも込めて

人のココロを動かすキャンペーンに

これからのVMDの在り方を考える2つのキーワードとして大髙氏が提示したのは、「ユーザーとのつながり」と「そこでしか体験できない価値」。2023年の年末にKITTE丸の内で展開したクリスマスキャンペーンは、まさにその2つを叶える演出が高く評価されました。「まずテンション。圧倒的な白の世界観で惹きつけ、演出で最高のピークをつくり、体験を記憶に刻みつけること」。9社が参加したコンペで勝ち取ったこのプロジェクトは2年連続で大髙氏が担当。「日本の美しい森を未来につなげていきたいというメッセージを込めて、使ったもみの木は椅子として施設に残し、循環型の要素を盛り込んだのも評価されたポイントかもしれません」。このキャンペーンは訪れた多くのお客様を感動させ、SNSの投稿にもしばしば取り上げられていました。

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サステナブルを理念に掲げるコセンティーノの素材にも関心がある大高氏。住宅メーカーからライフスタイル提案の営業ツールをつくって欲しいという要望もあり、「とくにラグジュアリーな提案に使ってみたいですね」と語っていました。

個性の異なる建築家、空間デザイナーのトークショーが、建築に携わるゲストの皆様の心に新しい風を吹き込んだ5月のCosentino City Tokyo。新しい発想、新しいインテリアの世界が、ここから広がります。

アルベール・アビュットAlbert Abut 

フランスと日本で活躍する建築家。建築・都市計画に明確なアプローチと独自のビジョンをもち、東京とパリを拠点に、独自のミニマリズムと細部へのこだわりを建造物で表現。造船についても研究を続け、空気力学、流体力学、塩分、強風、侵食、湿気、乾燥、極度な気温など、過酷な条件下で使用される建材にも詳しい。革新的な技術と素材、強さとエレガンスを融合させ、プロジェクトに活かしている。

大髙 啓二Keiji Otaka 

VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)+空間演出プロデューサー。小売業での販売経験を活かしたVMD担当として、さまざまな売り場づくりのディレクションを行い、現場での指導や研修を行う。VMDの視覚的訴求にプラスして、音・香・光・動など五感に訴える要素を取り入れ、モノを買うだけではない体験型の「心が動く空間創り」をトータルにプロデュースしている。